今回のコラムは植物の価値について。
価値といっても我々小売の人間がお客さんに売るための値段、つまりは価格についてのお話になってしまうのですが・・。
有用植物、農産物である野菜や果物は価値が食用にありますので値段が付きやすいですよね?
絶対に必要な食物という価値ですから。あとは需要の多い少ないで価値が変わってくると思うのです。
需要を多く集めるのは味であったり、栄養価などの付加価値であったり、無農薬などの安全性であったりなどですね。
ある程度絶対の需要があるので、豊作・不作で値段の上下が出てきますが、毎年一定数消費されるために価格が安定してきます。
では、有用でない観賞用の植物はどうなのか?
毎年ポンポンと消費されている一般的な観葉植物や花苗なんかはある程度価格が安定してきます。しかしながら、希少な植物などはそうは行きません。
近年では希少な品種の植物が次々と輸入されて来て、比較的安価な値段で購入できるようになりました。
ではこの価格、価値は誰が定めているのか?
植物の卸屋さんは輸入にかかったコスト、苗代、管理費などを考えて価格をつけていきます。
それを我々業者が仕入れ、そこに販売にかかるコストを載せて店頭に並ぶわけです。
つい先日のことなのですが、お店に馴染みのお客さんがいらっしゃいました。
一年ぶりくらいの来店だったので、いろいろとお話をしていたのですが、急に手持ちの植物を引き取って欲しい、とおっしゃられたのです。
当店では基本、プロの生産者さん以外からの買い取りはしていないので丁重にお断りしようとしたのですが・・。
お客さんご自身が長期で入院されること、身寄りが遠方なので退院後は地方に引っ越してしまうこと。
なので、趣味の植物を信頼できる人間に任せたい、と言っていただけたこと。
そこまでおっしゃっていただいたので、お店の方でその植物のコレクションを引き取ることにしました。
その植物の価値、特に趣味家の方にとっては大事な虎の子でも私のような業者には売れるか売れないかでの判断基準しかない「商品」になってしまいます。
幸いにして、そのお客さんの植物は全てが最高品質のものばかりなので、お客さんとお話の上で買い取りをさせていただきました。
そのような、本当に植物が好きでしっかりと作り込まれた作品と言ってもいいような植物に値段をつけて販売していいものなのだろうか?
葛藤もありましたが、お客さんからの「商売なんだからしっかりとした値段をつけて売って欲しい」とのお言葉と、ある程度の価値を設定することによって「その植物への関心を高める、つまりはより興味を持っていただくということに繋がるのでは?」と思い至りお店にて販売することになりました。
コストや販売の手間暇などを考えて価格設定しなくてはならないのでしょうが、それだけでない付加価値があり
それをいかに購入される方にお伝えできるかが植物の価値に繋がっていくのではないでしょうか?
植物の品種名を文字だけで記していても伝わりません。
写真を撮ってネットショップにアップすれば多少の反応もあるでしょうが、やはり直接お話してこそ、その植物に込められた愛情の深さ、価値がわかるのでは?!と思ってしまいます。
昨今は本当に便利で、遠方の方でもネットでお買い物ができる世の中です。
当店でもオンラインストアがありますが、やはりオンラインでも直接の販売でも価値・価格を共有していただくためにお伝えすべきことはお伝えしていかなくては、と思った次第です。
「植物の価値、生きているものに価格をつけていく」というのはなんとも難しいですね。
■GREEN JAM 埼玉県越谷市花田4-9-18 HP